館長日誌 - 館長のつぶやき

2023年3月13日 膳所の火まつりとライトアップ

 昨夜、膳所城跡公園で膳所まちづくり委員会主催の「膳所火まつり」が開催。膳所石鹿太鼓の合図で公園湖岸にたてられたヨシ松明60基が一斉に点火されました。会場には琵琶湖マラソン出場のため熊本からお越しの方も訪れるなど大勢の人たちでにぎわっていました。また公園は4月はじめまでライトアップ試験点灯が実施中です。もうすぐ桜満開の季節ぜひ灯りに照らされた桜見物にもお越しください。

2023年3月5日 桃花紅李花白

 3月4日に開催した「90歳の絵ことば展」開催記念鼎談には定員を超える21人が参加され、国松善次当館理事長などから健康で生きがいを持って老いを迎えるための心構えなどの話があり、参加者は熱心に耳を傾けていました。特に今年93歳を迎えられた桂忠延さんからの『素直に生きる』という言葉には多くの皆さんが頷いておられました。
 なお、当日の掛軸は当館の山本さんが選んだ「桃花紅李花白」です。桃は桃で美しく李は李で美しい、皆さんも自分らしく輝いてくださいというメッセージです。

2023年3月1日 桜咲く

 なぎさ公園和田浜の河津桜が咲き始めました。
 本日から膳所焼美術館では「90歳の絵ことば展」も広間で開催しています。卒寿を迎えた桂忠延さんが咲かせた人生の花とはなんだったのか、絵ことばの中から見つけてください。

2023年2月19日 ヨシ焼き火まつり

 昨日は、膳所学区の自治会やスポーツ少年団の団員等約130人が参加して膳所城跡公園北の丸跡のヨシ焼きと湖岸なぎさ公園約2キロの湖岸清掃を実施しました。ヨシは琵琶湖の水質浄化や生き物の生息地として大切な役割を果たしています。ヨシ帯は冬の終わりに刈り取り焼き払うことでヨシの芽生えを促すことになります。
 3月12日には膳所城跡公園でヨシを使った松明60本に点火する火まつりも開催されます。膳所の春のはじまりです。

2023年2月10日 90歳の絵ことば展

 来月1日から15日まで当館の元常務理事桂忠延さんが、90歳を迎えた心境を絵に詩や文章を添えた「絵ことば」の作品約30点を当館広間和室で展示します。絵ことば展は無料(美術館見学はお抹茶付き900円)です。是非お越しください。
 なお、3月4日午後2時から桂さんと元女優の風かおるさん、当館理事長國松善次による鼎談を行います。こちらは参加費1,000円です。

2023年2月3日 豆まきと白いカラス

 膳所焼美術館は1月2月土日祝日しか開館していませんので、ずいぶんご迷惑をおかけしていると思いますが、その分3月から楽しんでいただける企画を用意しますのでお許しください。今夜は膳所の和田神社で節分の豆まきが3年ぶりに行われました。大勢の子どもたちが集まり、鬼に豆を投げて元気のいいところを見せてくれました。ところで昼間、膳所のなぎさで白いカラスを見かけました。節分に白いカラス、なんだかいいことがあるようにと、思うことにします。

2023年1月25日 大雪

 膳所は今年初めての雪になりました。江戸時代には草履の裏に獣皮を貼った雪駄が重宝されたといいますが、この大雪では利休発案とされる雪駄も役に立ちそうにありません。窓の向こうの雪を眺めながらのお茶にします。

2023年1月12日(木) 三方よし+2

 新年最初のスタッフミーティングがあり、これからの美術館の取り組みについて話し合いを行いました。そのあとの懇話会で国松理事長から近江商人の三方よし(売り手よし 買い手よし 世間よし)に加えて、これからは「地球よし」、「世界よし」を付け加えるべきだというお話がありました。
 その考えに至ったきっかけは、かつてブータンを訪れた際に、仏様に願い事をしようとしたとき、ガイドの方から「何をお願いしましたか」と聞かれ、「自分の事」と答えたら、「その前にまずお願いすることがあります。世界平和です」では次は自分の事かと聞くと「次は、他人の事です」。さらにその次は自分の事かと重ねて聞くと「私たちの命の元となっている地球上の動物や植物に対してです」。いよいよ次は自分の事をお願いしていいのかと聞くと、ガイドの方は「それだけお願いしたら、もう自分の事をお願いする必要はないでしょう」と答えたそうです。ブータンが世界一幸福な国の意味が分かったと国松理事長は語っておられました。今年こそ平和な一年となる事を心から願っています。写真は膳所焼美術館の正月飾りです。

2023年1月2日 寒風に向かって新たな年を

 新年あけましておめでとうございます。1月2日寒風の中、新春マラソンが膳所のなぎさ公園で開催され、約千人のランナーが湖岸を走りました。
当館も新型コロナの感染拡大の影響で来館者数が激減し、運営面では真冬のような厳しい状況が続いていますが、私共もマラソンランナーのように寒風に向かって進む気持ちを持ち続けたいと存じます。
 なお、昨年同様1月2月は土日祝日だけの開館とさせていただきますが、それ以外の日に見学をご希望の方には開館させていただきます。お手数ながらメールにてお申し出くだいましたら、速やかに対応させていただきますのでよろしくお願いいたします。

2022年12月25日 今年もお世話になりました

 膳所の神社では、しめ縄を新しくするなどの迎春準備が氏子の皆さんにより行われました。神社ではしめ縄は結界を表わす重要なものですから、毎年新しいものに代えられます。
 戦争やコロナなどの禍の多い一年でしたが、新年には古いしめ縄と共に禍も焚き上げられ、どうぞ皆様方にとりまして幸せ多い一年となりますことを心からお祈り申し上げます。
 なお、当館は明日から新年1月7日まで休館させていただきます。また1月2月は土日祝日だけの開館となりますのでよろしくお願いいたします。

2022年12月20日 関

 今年最後の理事会でした。8月に理事のお一人から提案のあった組織体制や人事など美術館運営改革案についての審議と滋賀県公益認定等委員会の立入検査の結果などの報告がありました。美術館の経営改革については、公が進める指定管理に近い案も出されましたが、公益法人としての公益認定条件を踏まえ慎重に検討する必要があるとし、今後も現体制を維持しながら、理事会を中心に様々なご意見を実現していくよう確認されました。
 会議の場に掛けられていたお軸には大徳寺無学宗衍の「関」の文字が。当館の山本さんが掛けられたものですが、人生にも美術館にも越えなければない「関」がいくつもあるが、それを越えればかならず平安な時が来るとのメッセージでしょう。

2022年12月17日 来年はうさぎ年

 今年ももうすぐ終わります。この一年コロナの感染が拡大したり治まったり、ロシアによるウクライナ侵略、その結果物価の高騰、色んなことがありました。もちろん大谷選手やサッカーWカップでの日本選手の健闘など明るいニュースもありましたが、なんとなく靄がかかったような年でした。
 来年はうさぎ年、来年こそピョンと跳ねられるようにという願いもありますが、卯年は龍と虎に挟まれた年です。どうしたら牙を持たないウサギは凶暴な相手から逃れ生き残れるのか。あるいは天災やコロナに対してどのように立ち向かえばいいのか、膳所の木下町和田神社にかけられた絵馬が問いかけています。

2022年12月9日 ツバキの花

 本日は理事長との月例ミーティング。滋賀県からの公益法人に関する監査指摘事項の確認などを行いました。
 ところで膳所の自治会には、桜や竹など木々の名前が付いた町名が沢山ありますが、その中の一つ「椿原町」はかつて町内の膳所藩士の屋敷に大きなツバキの木があったからだとされています。茶花として重宝されるツバキですが、膳所焼を起こしたとされる膳所藩五代藩主菅沼定芳はツバキの愛好家でもあったらしく、安楽庵流茶道の流祖である策伝に名椿「瀬田の長橋」を贈った記録が残されています。

2022年12月7日 陽炎池

 膳所焼美術館のあるあたり、現在の粟津神社のかたわらには、かつて陽炎の池と呼ばれた池がありました。このあたりは湧き水が多く、瓦ヶ浜御殿の大きな池にも湧き水があったと言われています。陽炎池は謡曲田村や近江輿地志略、近江名所図会にも記されており東海道膳所の名所の一つにもなっていたのでしょう。
 岩崎健三の膳所焼復興に協力した山元春挙は、そうして歴史を踏まえ名池の傍らに登窯を築いた復興膳所焼窯元を「陽炎園」と名付けました。

2022年11月30日 カワウの群れ

 晴れ上がった湖上にカワウの群れが東から西へと移動し続けていました。膳所の老漁師田中さんによれば「ハイジャコの群れを追うているんやろう」と言うことですが、これからカワウにとっても食料の乏しくなる時期です。琵琶湖の生き物たちにとっても生きるための厳しい冬がやってきます。

2022年11月26日 膳所茶復活を子どもたちとともに

 膳所小学校では、保護者や地域活動を推進する京信膳所支店、学校運営協議会などの手を借りて膳所茶の復活を目指しています。
 膳所茶は膳所の山手で幕末の頃から栽培され、アメリカのペリー提督が日本に開国を迫った交渉の場で膳所茶が出されたことでも知られています。しかし明治になり茶の価格が暴落すると膳所茶は衰退し、今では名前が残るのみとなりました。
 膳所茶復活を通じて、膳所の歴史文化を未来に継承しようと、11月26日保護者たちの手により校庭に茶畑が整備されました。今後子どもたちが茶の木を植えることになっています。この話、大正時代にゼロから膳所焼を復興させた岩崎健三を思い起こさせます。

2022年11月20日 3年ぶりのお茶会

 昨日は秋晴れの下3年ぶりにお茶会でした。大勢の方からお問い合わせがありましたが、コロナ禍ということもあり、誠に勝手ながら70名様に限定して開催させていただきました。
 膳所焼美術館は茶道具の鑑賞をしていただくだけでなく「茶の湯文化」を広めることも大きな目的としており、そのための大切な催しが「お茶会」です。
 「無事是貴人」のお軸を掛物とさせていただきましたが、ご出席の皆様にはこれからも事なきようにとの願いも込めさせていただきました。今回はもうすぐ100歳を迎える当館名誉館長の岩崎世津さんにも出席していただき、とても温かい雰囲気でのお茶会となりました。ご出席の方々やおもてなしいただいた皆様に心からお礼申し上げます。

2022年11月14日 生児現成

 子どもたちの茶の湯教室を終えた後、子どもたちがおいしかったと言ってくれたことに驚きました。僕には堅ぐるしいきまりばかりで、窮屈に思ってはいないかと心配していたからです。
 生児現成とは子どもが生まれたとき、同じように親も親になるという意味ですが、僕も膳所焼美術館の館長になって2か月半。館長になって初めて、茶の湯の面白さを知りはじめたところです。茶の湯教室に参加していただいた子どもたちのように形からではなく、素直に美味しいと感じられるまで、茶の湯とその文化を学んでいけたらと考えています。

2022年11月10日

 先客は水浴び中 今日は国松理事長や坂本常務とお茶会の打ち合わせ。会議を始めると、蹲で水浴びする先客が。じゃましないように静かに、静かに。

2022年11月6日 小学生茶の湯教室

 本日は朝から膳所小学校の児童の皆さん6人と一緒に茶の湯の作法を学びました。
茶の湯と言うと堅ぐるしいイメージをお持ちの方が多いのですが、本来茶の湯はあたたかくおもてなしして、楽しくお帰り頂くものですから難しい作法はともかくとして、茶の湯の楽しさを味わっていただくため少人数での茶会にしました。僕からお茶の歴史や茶の湯の楽しさをお話した後、参加していただいた皆さんは、お茶をいただきながら膳所焼美術館の山本さんと斎藤さんからお茶席での作法などを習っていました。参加された皆さんからは、楽しかったとの声をいただき、僕たちにとっても嬉しい時間になりました。参加していただいた皆さんと付き添いのご家族の方、そして矢倉校長先生ありがとうございました。

2022年11月3日

一期一会
琵琶湖に水鳥が帰ってきました。野鳥に詳しい方によれば琵琶湖で羽を休めてさらに南へ渡る一群だそうです。昨日で膳所焼陽炎園の技術を伝承してきた陶工の石戸さんが膳所を去りました。僕には短い期間でしたが、膳所焼の特徴や伝承すべきことなど数多くの事を教えて頂きました。陶芸家として膳所焼作陶の経験を基に新たな活躍の場へと羽ばたいていかれることを願っています。

2022年10月29日

本日から膳所市民センター2階の膳所歴史資料室で膳所の風景絵画展が開催されています。膳所の風景絵画を通じて、歴史に培われた膳所の風景を大切にしていこうと言う気持ちを次代に繋げればという願いからの展示会です。是非一度ご覧ください。

2022年10月15日

膳所小学校の2年生の皆さんが美術館の見学に訪れました。あらかじめ用意してきた質問をいくつかされたのですが、そのなかに「一番値打ちがあるのはなんですか」という質問がありました。とても正直な質問です。僕も国宝か、重文かということでその価値を値踏みしてしまうことがあります。そのときの私の答えはこうです。
「値打ちと言うのは、①この世に一つしかない、②有名な人が作った、③とても古いものというので決まることが多いのですが、この世に一つなら皆さんの絵もそうですし、有名な人と言っても何十年か後に有名になる人もいます。古いから値打ちがあるのなら埴輪にはどんな陶器もかないません。つまり、値打ちには様々な見方がありますから、結局は皆さんが決めればいいのです。膳所焼美術館に展示している茶碗とかを見て、そこに書かれた絵が面白い、形が歪んでいて笑っているみたい、よく見たら川が流れて海につながっているみたいとか、棗を包む布の柄がかわいいとか、それが値打ちなんです。だからじっくり見つめてください。何が面白いか。そして、それがほしいとか、その茶碗でお茶を飲みたいとか思ったら、それこそ一番値打ちがあるものです」と答えました。それは自分自身への質問であり答えでもあります。念のために申し上げますが、膳所小学校2年生の児童の皆さんはとても礼儀正しくとても好奇心旺盛な素晴らしい皆さんでした。これからも子どもたちには是非とも膳所焼美術館を訪ねていただきたいと思います。

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