館長日誌 - 館長のつぶやき≪現在の日誌戻る≫

2023年12月24日 無事是貴人

 コロナの5類移行とWBCやバスケ、ラグビーなどW杯での日本選手の活躍は明るいニュースでしたが、物価の高騰と円安、ジャニーズや宝塚でのハラスメント問題など気持ちを滅入らせる出来事も相次いだ2023年でした。

 そんな2023年ももうすぐ終わりを迎えます。膳所では各神社でしめ縄の張替えや門松の用意など迎春準備が行われています。当館でも一年の無事を願って宗心の「無事是貴人」をかけさせていただきました。来年は皆様にとりまして、どうぞよい年でありますように。

2023年11月28日 金色のイチョウ

 当館役員の月例会議の後、帰宅する途中に金色に輝く塔が見えました。和田神社のイチョウがライトアップされて、あたかも夕闇の中にこつ然と現れた塔のように、あるいは巨大な生き物のようにも見えました。しばらく見とれていると宮司さんにお出会いし、今年から始めたと伺いました。是非一度ご覧ください。12月3日まで夕暮れから午後8時半ごろまで点灯されています。

2023年11月25日 肝試し

 本日は間もなく大規模改修が始まる膳所小学校で、改修前の「こわ~い」イベント肝試しが行われました。主催は膳所小学校おやじクラブで、午後3時からは初級編、午後5時からは上級編が開催。夕暮れる校内からは子供たちの悲鳴が響き渡っていました。催しの様子は12月6日NHKの滋賀地域ニュースで放送されます。

 芭蕉の門人で膳所の浜田洒堂がよんだ幽霊の句「幽霊に見えよ網代のやせ男」

2023年11月23日 新嘗祭

 神前に初穂を供える宮中行事の新嘗祭。戦後は勤労感謝の日として名前を改めていますが、膳所の各神社では神前に食べ物を献上して収穫を祝う神事が行われました。新嘗祭が終わるといよいよ師走。令和5年も最後の月になります。
 野に老いし父母よ勤労感謝の日 石井飛大男

2023年11月20日 ボランティアガイド

 昨日は、膳所のボランティアガイド養成講座が開講されました。参加された11人の方たちは、ガイドの先輩田中勇一さんが話されたガイドの心得などを熱心にメモに取られていました。ガイドの講座はこれから毎月5回にわたって行われます。まちあるき体験では当館にもお越しいただく予定です。

2023年11月11日 岩崎世津百寿記念茶会

 昨日は、当館名誉館長岩崎世津さんの百寿をお祝いするお茶会を開催いたしました。世津さんにお会いしたいとか、膳所焼美術館の名品でお茶を楽しみたいとおっしゃる方々140人をお招きしての大茶会になりました。

2023年10月29日 神輿巡行

 本日開催の膳所ふれあいまつり2023で和田神社の大神輿が会場である膳所城跡公園を巡行しました。担ぎ手70人は和田神社や篠津神社、さらには公募に応じた皆さんでかつての本丸、現膳所城跡公園での神輿巡行が行われました。

 江戸時代には和田神社の神輿に発掘された竜の骨(実際はアジアゾウの化石)をのせての神輿巡行やコレラ流行時には疫病退散祈願のために神輿巡行を行われていましたが、かつての本丸での神輿巡行は初めてのことです。これでコロナもインフルエンザも、さらには不況も退散してくれることを願っています。



2023年10月27日 わが家のお宝

 明日から膳所歴史資料室で「わが家のお宝展」が開催されます。祖父母の伊勢型紙や母親の南画手習帳、父親の地図コレクションなど、それぞれのお宅で思い出がつまった「お宝」ばかりです。その展示の一部には、2013年に埋められたタイムカプセルから取り出された10年前のハガキもあります。父母や子どもたちのハガキもまた家族には大切な宝物です。

 展示期間は10月28日~11月5日の10時から16時
 会場は膳所市民センター2階、入場は無料です。
 是非お越しください。


2023年10月24日 VR膳所城

 一昨日、膳所まちづくり委員会主催で「まちづくりフォーラム」が開催され、僕が司会進行していました。パネラーの一人山本奈美さんは立命館大学の学生さんたちとVRでの膳所城復元を目指しておられます。VRでの膳所城築城にはまだまだ時間がかかりそうですが、学生さんたちが膳所城や膳所の町に関心をもっていただけるのはありがたいことです。今月29日の膳所町大津市合併90周年記念ふれあいまつりでは会場の膳所城跡公園で子どもたちにお城クイズもするそうです。仮にVR膳所城の復元に時間がかかっても若い人たちが膳所に関わっていただけることには、大きな意味と希望があると心から思っています。

2023年10月17日 天髙

 Nozomi Yさんのご協力で、英文による当館案内をHPでさせていただくようになりました。ご支持ご協力いただける皆様のおかげで少しづつ当館も社会的使命を果せていけると感謝しております。
 広間の掛物は即中斎の「天高」です。日本晴れの透き通るような空と牧場でのんびりと草をはむ馬たちの姿が浮かびますが、「天高く馬肥える秋」の本来の意味は北方の騎馬民族がたくましく育った馬と共に都に攻め込んでくるから注意しろということです。昭和の初め激動の時代に茶道を守り抜いた即中斎なら、いつも危機に備える気持ちを忘れないようにと語りかけているのかもしれません。

2023年10月15日 防災訓練

 大地震を想定した防災訓練が膳所で実施されました。江戸時代にはたびたび大きな地震に見舞われた膳所ですが、過去を知らないと未来には備えられないと歴史は語っています。
なお、12月14日には膳所公民館で膳所の災害史について大津市歴史博物館高橋学芸員の講演があります。是非お越しください。

2023年10月13日 膳所小学校からのお客様

 膳所小学校から2年生の皆さんが施設見学にお見えになりました。「どんな施設ですか」「どんなことを大事にしていますか」などの質問にお答えした後は美術館を見学していただきました。小さなお客様方は、展示している陶器にも水琴窟の音にも大いに興味があるようでした。当館では小学生の皆さんの見学を歓迎しています。小学生は無料(お抹茶は有料)です。是非お越しください。


2023年10月6日 ハガキ発送

 10年前にタイムカプセルに入れて膳所城跡公園に埋めていたハガキ796通のうち、亡くなられてご遺族のご住所が不明なものや宛名不明のものを除いた約760通のハガキを、膳所まちづくり委員会のメンバーで封筒に入れて、お書きになった方々に発送しました。受け取られる方々の感想が楽しみです。

「フランスの菫を封す書簡かな」 正岡子規


2023年9月29日 月代

 月代とは、月の出の直前、東の空が白くなり始めたときを言いますが、煌煌と輝く満月に思わず声をあげるのと同じように、月が上がり始めるころの空の色と待ちわびる人たちの静かな様子もお月見会の楽しみのひとつです。本日は当館でのお月見会を開催させていただきました。当館から見る月の出は少々時間がかかりましたが、その間ギターとヨシ笛の演奏で月を待つ楽しみも味わいました。ご参加いただいた26名の皆様ありがとうございました。
 なお本日の掛物は月に因んで当館の山本さんに「推敲」語源となった言葉を選んでいただきました。



2023年9月25日 合併から90年

 今年の10月には、膳所町が大津市と合併して90周年を迎えることから様々な催しが計画されています。私も実行委員のひとりとして多くの事業に関わらせていただいていますが、膳所町が大津市と合併した昭和8年は、八幡銀行と百卅三銀行が合併して滋賀銀行が誕生した年でもあります。

 膳所町がなくなる4月1日、郷土史家の中神天弓さんは家の玄関に「膳所町葬儀につき」と書いて「芳名帳」を置いていたと天弓さんの日記にあります。天弓さんが心配した膳所の歴史文化の継承のためにも90周年記念事業には多くの住民の皆さんに参加していただきたいと願っています。

2023年9月20日 露堂々

 昨日は小堀遠州ゆかりの皆様が大勢見学におこしになりました。お迎えした掛物は「露堂々」季節が白露と言うことにもちなんでいますが、ありのままをご覧いただくと言う思いも込めています。しかし堂々といえるほどの展示とおもてなしができているのか、自戒の日々です。

 堂々といえば、大谷選手だけではなく、リリーフとして復活したメジャーの藤波選手や小さな体で相手選手を翻弄したバスケの河村選手、引退した岩淵選手たちの姿が浮かんできます。多くの勇気と元気を与えていただいた夏でした。

2023年9月13日 10年前のハガキ

 いまから10年前の11月、膳所では膳所町大津市合併80周年記念イベントが開催され、タイムカプセルにはイベント参加者などがメッセージを書いたハガキ796枚が封入されました。今月10日、膳所まちづくり委員会のメンバーにより膳所城跡公園の地下約1.5mに埋められていたタイムカプセルが掘り出され、手形を押したハガキや両親へ感謝の言葉をつづったハガキなどは、10月1日本人に届けられる予定です。

 一茶の有名句に「秋風やあれも昔の美少年」があります。わずか10年ですが、自分がどんなふうに成長したのか、あるいは老いたのか、知らせてくれる貴重なハガキです。

2023年9月11日 お月見の会

 すでにご案内していますが、仲秋の名月の日に膳所焼美術館広間にてお月見会を開催します。ところで、膳所とゆかりのある芭蕉の句に「名月はふたつすぎても瀬田の月」とあります。この句を詠んだときは閏八月で仲秋の名月が二度ありました。今は名月は一度きりです。是非膳所焼美術館のお庭からご覧ください。

2023年9月9日 壬申の乱

 当館の前館長、松浦俊和さんを講師にお招きして膳所焼美術館セミナーを開催したところ、定員を超える28人の方がお見えになりました。本日のテーマは膳所ともゆかりの深い古代最大の内乱壬申の乱です。今回は戦いに敗れて亡くなった大友皇子に関する伝承が東日本に広がっている話をしていただき、義経伝説に近い印象を持ちました。大友軍はなぜ敗れたのか?大友皇子の最後の地「山前」はどこか?壬申の乱以後の大津宮はどうなったのか?など古代最大の内乱には興味が尽きません。ちなみに松浦さんは古代史だけではなく湖南地域の城郭研究においても著名な方ですから、違うテーマでの講演も楽しみです。


2023年8月16日 千燈祭

 立春から二百二十日に五穀豊穣と無病息災を願って、祭神に千個の燈を捧げる千燈祭が膳所の各神社で執り行われました。和田神社では夕暮れから境内で縁日も行われ、親子連が射的やスーパーボールすくいなどを楽しんでいました。
 膳所焼美術館のすぐ近くに鎮座する粟津神社は、田端さんとも呼ばれていますが、昭和の時代、8月1日の例祭には境内と細い通りいっぱいに露店が並び大勢の人たちで大変な賑わいだったとのことです。

2023年8月7日 花火大会

 滋賀県での最大の花火大会は、明日8月8日大津港一帯で打ち上げられる「びわ湖大花火大会」です。もとは地元観光協会主催の浜大津花火大会と呼ばれていましたが、40年前に主催者は滋賀県に代わり、日本を代表する花火大会を目指すようになりました。4年ぶりの開催となった今年は、有料観覧席に来られる方以外、大津市以外からの来場を制限しようとしていますが、予想を超えるお客様がお見えになるのは確実です。その一方では地元の自治連合会から開催反対の意思表示がされるなど様々な問題も提起されています。
 江戸時代の膳所藩でも、幕末に花火大会が開催されていました。会場は相模川河口沖の湖上、現在はプリンスホテルが建つあたりです。膳所藩士が火薬を調合し丸子舟から打ち上げたと記録にありますが、外国船が開国を求めてやってきた頃です。大砲の訓練も兼ねていたのでしょう。膳所の町民たちの為に行われたとは記録に書かれてはいません。(写真は昨年の膳所夏まつり 今年は10月29日に合併記念花火として打ち上げ予定)

2023年7月30日 麦湯祭

 7月の終わりか8月初めに膳所の神社では麦湯祭が行われます。もっとも暑さの厳しい時に塩を混ぜた麦茶を沸かし参拝者にふるまうもので、実に理にかなっています。昔の暑さは今ほどではなかったでしょうが、塩分、麦茶のミネラルやポリフェノール、さらには鉄釜の鉄分など体が弱ってくる夏には欠かせない飲み物です。たぶん日本史上例のない暑い夏でしょうが、日陰でしっかり水分取って夏をやり過ごしましょう。(写真は和田神社)













 なお、そんな夏の朝、膳所市民センター植栽の草引きをまちづくり委員会等のメンバー14人で行いました。(写真はクリーンボランティアの日)

2023年7月27日 風鈴祭

 和田神社では、7月24日から8月20日まで風鈴祭を開催。境内や参道に440個のガラス製風鈴が吊り下げられ、涼やかな音色を響かせています。
 茶道でも音を楽しむ場面があります。お点前の際に、水指から釜に移した水の音、湯の湧く音、茶杓を置いた時の音など、逆に言えば静けさを楽しむと言うことでしょうか。 膳所焼美術館にお見えの方は皆おっしゃいます「静かですね」 実際はすぐ横を5分おきに電車が通り、近くで工事もしているのですが、小さな露地と開け放たれた広間、そこに集中していると「閑」と感じていただけるのでしょう。

2023年7月23日 親子の日

 親子の日に因んで、親子で茶の湯に親しんでいただこうと茶の湯教室を開催しました。私からお茶の歴史やお茶席でのマナー、当館の山本さんや斎藤さんからお茶道具の話をしていただいた後、19人の親子の皆さんに広間でお茶を楽しんでいただきました。また、今回は特別にお茶室泉新庵ににじりぐちから入ることやお茶を点てることも体験していただき、大変喜んでいただけました。

 7月第4日曜日を親子の日として提唱したのは、アメリカ人写真家ブルース・オズボーンさんだそうですが、一年に一度は親子が真剣に向かい合い、認め合い、絆を深めてほしいとの願いからです。その願いは、人と人の結びつきを大切にする茶の湯の精神と共通します。

2023年7月15日 ゴールボール

 膳所スポーツ少年団では、障害者スポーツ大会の種目のひとつ「ゴールボール」の体験会を開催しました。「ゴールボール」の選手は目隠しのゴーグルをして、相手ゴールを狙ってボールを転がすのですが、たよりになるのは味方の声とボールの鈴音だけ。防ぐ側も同じですから、仲間同士互いにうまくコミニケーションを取らなければなりません。障害者スポーツであると同時にコミュニケーションを深める上でも意義あるスポーツ種目です。
 昨日は定例の役員会。子ども茶の湯教室の進め方や松浦前館長を講師にお願いして実施するセミナー、秋のお茶会などについて意見を交わしました。

2023年7月7日 七夕

 天棚機姫といっても知らない方の方が多いでしょうが、日本の神様です。この方と中国の織女の伝説がひとつになって7月7日を「たなばた」と呼ぶようになりました。昔は笹竹に七夕に因んだ歌を書いて結びつけたそうです。「恋恋いて稀にあふ夜の天の川河瀬の鶴は鳴かずもあらなむ」実朝の歌です。でもこんな恋の歌を誰もが詠めるわけではありませんから、「百人のすけで七夕早くなり」歌を百人一首から選ぶようにしたら七夕の準備が早くできちゃったと柳多留にありました。
 (写真は北向き地蔵尊と百日紅の花)

2023年7月1日 半夏生

 膳所市民センター2階の膳所歴史資料室では、本日から7月9日まで膳所藩士羽太(はぶと)家が大津市歴史博物館に寄贈された古文書や陣笠などを展示します。古文書は翻刻文と原文写真を併せて展示していますので、わかりやすくなっています。膳所藩藩政に関する史料は、ほとんどが廃藩時に焼却されており、羽太家史料は大変貴重なものです。膳所焼美術館のついでに膳所歴史資料室にも是非一度お立ち寄りください。

 当館の広間には木槿や下野草にあわせて半夏生が飾られています。明日は夏至から11日目の半夏生です。この日に雨が降れば大雨が続くとの言い伝えもあります。災害にもお体にも気を付けください。

2023年6月30日 茅の輪くぐり

 本日で一年も半分が過ぎました。膳所の各神社では、夏越大祓の神事が執り行われ、昼過ぎには、無病息災を願って和田神社の茅の輪をくぐる保育園児たちもいました。
 茅の輪くぐりは蘇民将来の逸話が起源とされ、江戸時代から続いているそうです。梅雨のこの時期は昔から洪水やそれに伴う疫病も多く、少しでも災いから逃れたい、子どもを疫病から守りたいと願う庶民の気持ちが茅の輪くぐりとして伝えられてきたのでしょう。明治以前には、膳所もたびたび大水害に見舞われ、膳所焼美術館のあるあたりまで水に浸かったと記録にあります。

2023年6月23日 アジサイ

 大津市の友好都市のひとつにドイツ・ヴュルツブルク市があります。大津市制100周年にはなぎさ公園にドイツレストラン・ヴュルツブルグハウスが建てられ今も営業を続けておられます。そのヴュルツブルク市出身の有名人にシーボルトがいますが、シーボルトは日本から多くの植物標本を持ち帰り、後には日本の植物に関する本も出版しています。それら植物の中でも「アジサイ」を特に好んだらしく、アジサイの学名に日本人妻「たき」の名をつけようとしたほどです。2015年シーボルトにちなんで、なぎさ公園和田浜に日本の象徴「桜」とともに「アジサイ」が植えられ「桜とアジサイの路」と名付けられました。
 なお茶碗の写真は山元春挙の門人、柴田晩葉(1884-1942)が描いた紫陽花です。作品は現在展示室1階に展示していますので是非ご覧ください。

2023年6月18日 お庭ツアー

 本日は朝から市民一斉清掃に参加した後、当美術館へ。10時前にクラブツーリズムの団体客の皆さんが約30人お見えになりましたので、お茶を飲んでいただいている間、膳所焼の由来や所蔵品、お庭の説明をしていました。お越しの皆さんはいずれも東京近郊の方々で、京都滋賀の知られざる名園をめぐるツアーとして、滋賀では本館のほか、蘆花浅水荘、三井寺、月心寺などを廻られます。こうしたコースに本館を入れていただいたことに感謝して、当館近くの粟津神社も案内させていただきました。再来週にもお越しいただく予定です。なお当館は1,800以上のお庭を紹介した庭園情報メディア「おにわさん」でも取り上げていただいています。

2023年6月14日 Zの校章

 膳所小学校からのご依頼で、6年生約100人の方たちに、膳所の歴史にまつわる話をしてきました。明治時代の膳所小学校の校章には英語のZが使われていたけど、昭和になって今のような漢字を使った校章になったのはなぜ?膳所には大工町という地名があるけど大工さんが住んでいた?といった学校の歴史や城下町の地名にまつわる話でしたが、坊主町にはお坊さんが住んでいた?と聞くと「野球部」という機知に富んだ回答をしてくれるなど、とても愉快な皆さんでした。膳所小学校6年生と先生方ありがとうございました。
 7月23日開催の「夏休み親子茶の湯教室」について、膳所小学校6年生の皆さんに告知ビラを配布しています。その時にもう一度お会いできることを願っています。





2023年6月12日 精進無涯

 本日は評議員会が開催されました。膳所焼美術館は公益財団法人として大きな社会的責任を負っています。それは、膳所焼をはじめとする美術品の適正な管理と心地よく鑑賞していただける環境づくり。さらには焼物と茶の湯文化を将来に継承していくための活動などです。
公益法人の評議員会の役割を株主総会にたとえられた方がいます。株式会社の株主が適正で持続可能な経営を求めるように、評議員は当美術館が適正かつ公正に管理運営され、社会的にどれだけの利益をもたらしているのかを県民に代わって厳しく見守る、いわば株主です。その声を役員である理事はしっかりと受け止め、無報酬であるからと言って努力を怠ってはなりません。理事の一人として、あらためて精進に果てはないと思っています。

2023年6月8日 時知らぬ

 当館では小林一三が富士を描いた膳所焼茶碗を所蔵しております。箱書きには業平の
「時知らぬ 山は富士の峰 いつとてか かのこまだらの雪は降るらむ」と書かれてあります。
 蒸し暑い時期ですが、多少なりとも涼しさを感じていただけたでしようか。

 明後日は時の記念日、大津京において天智天皇が漏刻(水時計)で初めて時を知らせたのが6月10日であったことに由来します。現在では近江神宮で開催される漏刻祭が知られていますが、天智天皇や大友皇子を祀る石坐神社(京阪錦駅から徒歩7分)でも漏刻祭が6月10日に斎行されています。

2023年6月1日 ヤマボウシ

 膳所のなぎさ公園では、ヤマボウシが白い十字のような花をつけています。名前の由来となった僧の白い頭巾からは、比叡山の僧兵を思い起こさせますが、その比叡山延暦寺の開祖最澄が日本で最初にお茶の実を持ち帰ったと日吉社神道秘密記に書かれています。なぎさ公園では雨が近づく空の下を托鉢する僧侶の方たちにも出会いました。
 かなたより空かげりくる山法師 高田正子

2023年5月27日 亀鳴く

 本日は当館に膳所地域桜の馬場自治会の皆さんが大勢お見えになりました。私はクリーンボランティアの日でしたので坂本常務理事さんにお任せして膳所市民センター周辺の草引きです。そのあと、センターから徒歩5分、膳所城跡公園に祀られた「石鹿地蔵」にお参りすると、そのすぐそば、綿毛が舞うポプラの根元でアカミミガメが産卵のための穴を掘っていました。特定外来種ですから、生態系を守るため母亀も、産卵したら卵も駆除すべきとはわかっていますが、お地蔵様の傍です。亀も泣いている気がしましたので今回は見逃すことにしました。
 ところで春の季語「亀鳴く」の名句から「亀鳴くと嘘をつきなる俳人よ」村上鬼城



2023年5月23日 湖上浮軽舟

 膳所焼美術館の令和4年度決算の承認を求める理事会が開催されました。理事会では、國松理事長からの山元春挙展に伴う来館者の増加や「90歳の絵ことば展」開催等の取り組みなど事業の成果報告と決算報告が行われ、参加者全員から承認されました。また、理事の皆さんからは若い人たちへの茶の湯文化の継承のための事業や蘆花浅水荘のように開かれた館運営が提案されたほか、館長日誌に対する温かい激励のお言葉もいただきました。

 さて、会場となった広間の掛物は「湖上浮軽舟」。のんびりボートの上から釣り糸を垂れているのか、それとも比叡おろしの荒波に木の葉のように揺れているのか。人によって思うことは違うのでしょうが、膳所焼美術館は小さな舟ですが、国松船頭のもと波に向かってしっかり漕ぎ進めています。
 なお、漕ぎ手ともいうべき令和5年度の理事と監事は次の皆さんとなりました。
【理事】國松善次、坂本一馬、山元寛昭、宮崎君武、松浦俊和
    柴山哲治、堀池善雄(新任)、寺田智次(新任)
【監事】土屋薫、奥博  (敬称略)
 では役員の皆さん「オーエス」

2023年5月14日 百事如意

 本日は春のお茶会を開催。雨に新緑が映えるお茶会になりました。お客様の中には赤穂や徳島、沼津からお越しいただいた方もあり、国松理事長以下関係者一同大変感謝しております。また接待していただいた表千家、裏千家の皆様方にも厚くお礼申し上げます。
 薄茶席の床には「百事如意」の掛物。今年百歳を迎えられた裏千家・千玄室氏や来年は百歳を迎える当館名誉館長岩崎世津さんにあやかり、お越しの皆様が心も体もご家族も万事うまくいきますようにとの願いを込めさせていただきました。
 次回、秋のお茶会は11月11日開催の予定です。是非ともおいでください。

2023年5月10日 雀の子

 膳所のなぎさ公園では、雀の子が巣立ち始めています。巣立ったばかりでまだ胸の羽が白い雀の子は、下に降りてもまだ親鳥から餌をもらおうと羽を小さく震わせ口を開けて餌をねだります。小さな命が懸命に生きている初夏です。雀と言えば、かつて膳所焼の土は茶臼山の南、「雀が谷」で採られていました。

2023年5月2日 祭の準備

 5月3日の五社祭を前に、膳所の各神社ではお祭の準備が進んでいます。3年ぶりのお祭を楽しみにしている人も多く、お祭はみんな主人公です。稚児行列に参加する子どもたちも大神輿を担ぐ人たちも御旅所に集まる町内の人たちも。明日はどうやら晴れそうです。

2023年4月25日 花楓

 紅葉は秋のものと思いがちですが、紅葉も春には花が咲きます。膳所のなぎさ公園にはイロハカエデの青い葉の先に薄紅色の花が満開です。花楓は春の季語で、山口誓子の句に「花楓新婚の二人椅子に揺れ」とあります。晩春の気持ちのいい昼にはお庭を見ながらお二人で静かにお茶はいかがですか。膳所焼美術館でおまちしています。

2023年4月11日 松花粉

 杉やヒノキの花粉は花粉症の原因として有名ですが、松も花粉を飛ばすことはあまり知られていません。琵琶湖岸なぎさ公園には粟津の晴嵐にちなんで多くの松が植えられていますが、今は松の花粉で靄がかかっているかのようです。
 かつては当美術館近くの瀬田口総門跡から瀬田唐橋まで東海道の両側に松並木が続いていました。太平洋戦争中にテレビン油を採るために多くの松が切られてしまいましたが、江戸時代の今頃は松の花粉で粟津の松並木も靄がかかっていたのでしょう。

2023年3月29日 膳所桜まつり

 天候も桜の状態も良かったせいか、あるいはコロナからの開放感からか膳所城跡公園での桜まつりはこれまでにない人出になりました。今回は膳所町大津市合併90周年という事もあり、膳所の名園めぐりも開催。当館もコースに入れて蘆花浅水荘や本多神社とともにご案内いたしました。

2023年3月29日 山花咲野鳥語

 本日はレイカディア大学43期生の皆さんが当館にお越しいただきました。お迎えしたお軸は「山花咲野鳥語」、当館見学のあとにご案内した本多神社では、高松宮殿下お手植えの桜が満開でした。今年も花は咲き、鳥たちが歌っています。

2023年3月22日 雨奇晴好

 昨日は膳所城跡公園でハープや津軽三味線の演奏などが行われる花灯りステージが開催されましたが、あいにくの雨でした。それでも雨の中、演奏を楽しみに来られた方たち、テントを張り、ぜんざいで接待し、少しでも来られた方たちを温かくお迎えしようとしていた膳所まちづくり委員会の方たち、その光景を見ていたら「雨も良し」です。

 本日は理事会でした。来年度の当美術館の運営方針を決める大切な会議です。なかでも当館を支えていただける会員や支援していただける方を増やすための方策などについて話し合いが行われました。色々課題はありますが、それも楽しむつもりで「雨もまた良し」との気持ちで課題克服に努めてまいります。

2023年3月13日 膳所の火まつりとライトアップ

 昨夜、膳所城跡公園で膳所まちづくり委員会主催の「膳所火まつり」が開催。膳所石鹿太鼓の合図で公園湖岸にたてられたヨシ松明60基が一斉に点火されました。会場には琵琶湖マラソン出場のため熊本からお越しの方も訪れるなど大勢の人たちでにぎわっていました。また公園は4月はじめまでライトアップ試験点灯が実施中です。もうすぐ桜満開の季節ぜひ灯りに照らされた桜見物にもお越しください。

2023年3月5日 桃花紅李花白

 3月4日に開催した「90歳の絵ことば展」開催記念鼎談には定員を超える21人が参加され、国松善次当館理事長などから健康で生きがいを持って老いを迎えるための心構えなどの話があり、参加者は熱心に耳を傾けていました。特に今年93歳を迎えられた桂忠延さんからの『素直に生きる』という言葉には多くの皆さんが頷いておられました。
 なお、当日の掛軸は当館の山本さんが選んだ「桃花紅李花白」です。桃は桃で美しく李は李で美しい、皆さんも自分らしく輝いてくださいというメッセージです。

2023年3月1日 桜咲く

 なぎさ公園和田浜の河津桜が咲き始めました。
 本日から膳所焼美術館では「90歳の絵ことば展」も広間で開催しています。卒寿を迎えた桂忠延さんが咲かせた人生の花とはなんだったのか、絵ことばの中から見つけてください。

2023年2月19日 ヨシ焼き火まつり

 昨日は、膳所学区の自治会やスポーツ少年団の団員等約130人が参加して膳所城跡公園北の丸跡のヨシ焼きと湖岸なぎさ公園約2キロの湖岸清掃を実施しました。ヨシは琵琶湖の水質浄化や生き物の生息地として大切な役割を果たしています。ヨシ帯は冬の終わりに刈り取り焼き払うことでヨシの芽生えを促すことになります。
 3月12日には膳所城跡公園でヨシを使った松明60本に点火する火まつりも開催されます。膳所の春のはじまりです。

2023年2月10日 90歳の絵ことば展

 来月1日から15日まで当館の元常務理事桂忠延さんが、90歳を迎えた心境を絵に詩や文章を添えた「絵ことば」の作品約30点を当館広間和室で展示します。絵ことば展は無料(美術館見学はお抹茶付き900円)です。是非お越しください。
 なお、3月4日午後2時から桂さんと元女優の風かおるさん、当館理事長國松善次による鼎談を行います。こちらは参加費1,000円です。

2023年2月3日 豆まきと白いカラス

 膳所焼美術館は1月2月土日祝日しか開館していませんので、ずいぶんご迷惑をおかけしていると思いますが、その分3月から楽しんでいただける企画を用意しますのでお許しください。今夜は膳所の和田神社で節分の豆まきが3年ぶりに行われました。大勢の子どもたちが集まり、鬼に豆を投げて元気のいいところを見せてくれました。ところで昼間、膳所のなぎさで白いカラスを見かけました。節分に白いカラス、なんだかいいことがあるようにと、思うことにします。

2023年1月25日 大雪

 膳所は今年初めての雪になりました。江戸時代には草履の裏に獣皮を貼った雪駄が重宝されたといいますが、この大雪では利休発案とされる雪駄も役に立ちそうにありません。窓の向こうの雪を眺めながらのお茶にします。

2023年1月12日(木) 三方よし+2

 新年最初のスタッフミーティングがあり、これからの美術館の取り組みについて話し合いを行いました。そのあとの懇話会で国松理事長から近江商人の三方よし(売り手よし 買い手よし 世間よし)に加えて、これからは「地球よし」、「世界よし」を付け加えるべきだというお話がありました。
 その考えに至ったきっかけは、かつてブータンを訪れた際に、仏様に願い事をしようとしたとき、ガイドの方から「何をお願いしましたか」と聞かれ、「自分の事」と答えたら、「その前にまずお願いすることがあります。世界平和です」では次は自分の事かと聞くと「次は、他人の事です」。さらにその次は自分の事かと重ねて聞くと「私たちの命の元となっている地球上の動物や植物に対してです」。いよいよ次は自分の事をお願いしていいのかと聞くと、ガイドの方は「それだけお願いしたら、もう自分の事をお願いする必要はないでしょう」と答えたそうです。ブータンが世界一幸福な国の意味が分かったと国松理事長は語っておられました。今年こそ平和な一年となる事を心から願っています。写真は膳所焼美術館の正月飾りです。

2023年1月2日 寒風に向かって新たな年を

 新年あけましておめでとうございます。1月2日寒風の中、新春マラソンが膳所のなぎさ公園で開催され、約千人のランナーが湖岸を走りました。
当館も新型コロナの感染拡大の影響で来館者数が激減し、運営面では真冬のような厳しい状況が続いていますが、私共もマラソンランナーのように寒風に向かって進む気持ちを持ち続けたいと存じます。
 なお、昨年同様1月2月は土日祝日だけの開館とさせていただきますが、それ以外の日に見学をご希望の方には開館させていただきます。お手数ながらメールにてお申し出くだいましたら、速やかに対応させていただきますのでよろしくお願いいたします。

2022年12月25日 今年もお世話になりました

 膳所の神社では、しめ縄を新しくするなどの迎春準備が氏子の皆さんにより行われました。神社ではしめ縄は結界を表わす重要なものですから、毎年新しいものに代えられます。
 戦争やコロナなどの禍の多い一年でしたが、新年には古いしめ縄と共に禍も焚き上げられ、どうぞ皆様方にとりまして幸せ多い一年となりますことを心からお祈り申し上げます。
 なお、当館は明日から新年1月7日まで休館させていただきます。また1月2月は土日祝日だけの開館となりますのでよろしくお願いいたします。

2022年12月20日 関

 今年最後の理事会でした。8月に理事のお一人から提案のあった組織体制や人事など美術館運営改革案についての審議と滋賀県公益認定等委員会の立入検査の結果などの報告がありました。美術館の経営改革については、公が進める指定管理に近い案も出されましたが、公益法人としての公益認定条件を踏まえ慎重に検討する必要があるとし、今後も現体制を維持しながら、理事会を中心に様々なご意見を実現していくよう確認されました。
 会議の場に掛けられていたお軸には大徳寺無学宗衍の「関」の文字が。当館の山本さんが掛けられたものですが、人生にも美術館にも越えなければない「関」がいくつもあるが、それを越えればかならず平安な時が来るとのメッセージでしょう。

2022年12月17日 来年はうさぎ年

 今年ももうすぐ終わります。この一年コロナの感染が拡大したり治まったり、ロシアによるウクライナ侵略、その結果物価の高騰、色んなことがありました。もちろん大谷選手やサッカーWカップでの日本選手の健闘など明るいニュースもありましたが、なんとなく靄がかかったような年でした。
 来年はうさぎ年、来年こそピョンと跳ねられるようにという願いもありますが、卯年は龍と虎に挟まれた年です。どうしたら牙を持たないウサギは凶暴な相手から逃れ生き残れるのか。あるいは天災やコロナに対してどのように立ち向かえばいいのか、膳所の木下町和田神社にかけられた絵馬が問いかけています。

2022年12月9日 ツバキの花

 本日は理事長との月例ミーティング。滋賀県からの公益法人に関する監査指摘事項の確認などを行いました。
 ところで膳所の自治会には、桜や竹など木々の名前が付いた町名が沢山ありますが、その中の一つ「椿原町」はかつて町内の膳所藩士の屋敷に大きなツバキの木があったからだとされています。茶花として重宝されるツバキですが、膳所焼を起こしたとされる膳所藩五代藩主菅沼定芳はツバキの愛好家でもあったらしく、安楽庵流茶道の流祖である策伝に名椿「瀬田の長橋」を贈った記録が残されています。

2022年12月7日 陽炎池

 膳所焼美術館のあるあたり、現在の粟津神社のかたわらには、かつて陽炎の池と呼ばれた池がありました。このあたりは湧き水が多く、瓦ヶ浜御殿の大きな池にも湧き水があったと言われています。陽炎池は謡曲田村や近江輿地志略、近江名所図会にも記されており東海道膳所の名所の一つにもなっていたのでしょう。
 岩崎健三の膳所焼復興に協力した山元春挙は、そうして歴史を踏まえ名池の傍らに登窯を築いた復興膳所焼窯元を「陽炎園」と名付けました。

2022年11月30日 カワウの群れ

 晴れ上がった湖上にカワウの群れが東から西へと移動し続けていました。膳所の老漁師田中さんによれば「ハイジャコの群れを追うているんやろう」と言うことですが、これからカワウにとっても食料の乏しくなる時期です。琵琶湖の生き物たちにとっても生きるための厳しい冬がやってきます。

2022年11月26日 膳所茶復活を子どもたちとともに

 膳所小学校では、保護者や地域活動を推進する京信膳所支店、学校運営協議会などの手を借りて膳所茶の復活を目指しています。
 膳所茶は膳所の山手で幕末の頃から栽培され、アメリカのペリー提督が日本に開国を迫った交渉の場で膳所茶が出されたことでも知られています。しかし明治になり茶の価格が暴落すると膳所茶は衰退し、今では名前が残るのみとなりました。
 膳所茶復活を通じて、膳所の歴史文化を未来に継承しようと、11月26日保護者たちの手により校庭に茶畑が整備されました。今後子どもたちが茶の木を植えることになっています。この話、大正時代にゼロから膳所焼を復興させた岩崎健三を思い起こさせます。

2022年11月20日 3年ぶりのお茶会

 昨日は秋晴れの下3年ぶりにお茶会でした。大勢の方からお問い合わせがありましたが、コロナ禍ということもあり、誠に勝手ながら70名様に限定して開催させていただきました。
 膳所焼美術館は茶道具の鑑賞をしていただくだけでなく「茶の湯文化」を広めることも大きな目的としており、そのための大切な催しが「お茶会」です。
 「無事是貴人」のお軸を掛物とさせていただきましたが、ご出席の皆様にはこれからも事なきようにとの願いも込めさせていただきました。今回はもうすぐ100歳を迎える当館名誉館長の岩崎世津さんにも出席していただき、とても温かい雰囲気でのお茶会となりました。ご出席の方々やおもてなしいただいた皆様に心からお礼申し上げます。

2022年11月14日 生児現成

 子どもたちの茶の湯教室を終えた後、子どもたちがおいしかったと言ってくれたことに驚きました。僕には堅ぐるしいきまりばかりで、窮屈に思ってはいないかと心配していたからです。
 生児現成とは子どもが生まれたとき、同じように親も親になるという意味ですが、僕も膳所焼美術館の館長になって2か月半。館長になって初めて、茶の湯の面白さを知りはじめたところです。茶の湯教室に参加していただいた子どもたちのように形からではなく、素直に美味しいと感じられるまで、茶の湯とその文化を学んでいけたらと考えています。

2022年11月10日

 先客は水浴び中 今日は国松理事長や坂本常務とお茶会の打ち合わせ。会議を始めると、蹲で水浴びする先客が。じゃましないように静かに、静かに。

2022年11月6日 小学生茶の湯教室

 本日は朝から膳所小学校の児童の皆さん6人と一緒に茶の湯の作法を学びました。
茶の湯と言うと堅ぐるしいイメージをお持ちの方が多いのですが、本来茶の湯はあたたかくおもてなしして、楽しくお帰り頂くものですから難しい作法はともかくとして、茶の湯の楽しさを味わっていただくため少人数での茶会にしました。僕からお茶の歴史や茶の湯の楽しさをお話した後、参加していただいた皆さんは、お茶をいただきながら膳所焼美術館の山本さんと斎藤さんからお茶席での作法などを習っていました。参加された皆さんからは、楽しかったとの声をいただき、僕たちにとっても嬉しい時間になりました。参加していただいた皆さんと付き添いのご家族の方、そして矢倉校長先生ありがとうございました。

2022年11月3日

一期一会
琵琶湖に水鳥が帰ってきました。野鳥に詳しい方によれば琵琶湖で羽を休めてさらに南へ渡る一群だそうです。昨日で膳所焼陽炎園の技術を伝承してきた陶工の石戸さんが膳所を去りました。僕には短い期間でしたが、膳所焼の特徴や伝承すべきことなど数多くの事を教えて頂きました。陶芸家として膳所焼作陶の経験を基に新たな活躍の場へと羽ばたいていかれることを願っています。

2022年10月29日

本日から膳所市民センター2階の膳所歴史資料室で膳所の風景絵画展が開催されています。膳所の風景絵画を通じて、歴史に培われた膳所の風景を大切にしていこうと言う気持ちを次代に繋げればという願いからの展示会です。是非一度ご覧ください。

2022年10月15日

膳所小学校の2年生の皆さんが美術館の見学に訪れました。あらかじめ用意してきた質問をいくつかされたのですが、そのなかに「一番値打ちがあるのはなんですか」という質問がありました。とても正直な質問です。僕も国宝か、重文かということでその価値を値踏みしてしまうことがあります。そのときの私の答えはこうです。
「値打ちと言うのは、①この世に一つしかない、②有名な人が作った、③とても古いものというので決まることが多いのですが、この世に一つなら皆さんの絵もそうですし、有名な人と言っても何十年か後に有名になる人もいます。古いから値打ちがあるのなら埴輪にはどんな陶器もかないません。つまり、値打ちには様々な見方がありますから、結局は皆さんが決めればいいのです。膳所焼美術館に展示している茶碗とかを見て、そこに書かれた絵が面白い、形が歪んでいて笑っているみたい、よく見たら川が流れて海につながっているみたいとか、棗を包む布の柄がかわいいとか、それが値打ちなんです。だからじっくり見つめてください。何が面白いか。そして、それがほしいとか、その茶碗でお茶を飲みたいとか思ったら、それこそ一番値打ちがあるものです」と答えました。それは自分自身への質問であり答えでもあります。念のために申し上げますが、膳所小学校2年生の児童の皆さんはとても礼儀正しくとても好奇心旺盛な素晴らしい皆さんでした。これからも子どもたちには是非とも膳所焼美術館を訪ねていただきたいと思います。

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